181123 AKBの握手会で指原莉乃と握手したはなし

同じ事務所なんだけど指原莉乃って子がいるんだけど、あの子いい子だよ、気がきくし、みたいな事を有吉弘行がラジオで言っていた。

まだAKBに大島優子が居て前田敦子が居て、指原さんが三列目で踊ってた頃。彼女が総選挙三連覇を成し遂げる、ずっと前のこと。

その頃私は高校生で、ラジオが好きでよく聞いていた。

さしはら?誰?と思ってグーグル先生に調べてもらったことを覚えてる。特別小綺麗な印象もなく、普通の同い年の女の子だった。多分私はアイドルグループの中で少しぱっとしない女の子に自分を重ねたがる癖があるのかもしれない。人は自身に似ているところがある人を好きになると言うのだから。指原莉乃が少しだけ気になる存在になった。

それが今から10年前。

高校生だったあの頃はもう遠い昔。

AKBだったらさしこが好き、という話をすると、え?誰?みたいな扱いをされたのだけれど、いいとものレギュラーを彼女が獲得したあたりから一般的な認知度がめちゃくちゃ上がった。いいともすごい。そりゃ芸能人みんなレギュラーになりたがるわ。いいとも終わったけど。

今でいう白石麻衣のような誰もが羨む美貌もなければ、平手友梨奈のように唯一無二の圧倒的な存在感があるわけでもない、言ったら悪いけれどそこら辺にいそうな小綺麗な女の子(もちろんクラスに居たら全然スクールカースト最上位に居るタイプの普通に可愛い女の子だけど)が持ち前のコミュニケーション能力、処世術で成り上がるさまをテレビの向こうで見てきた。

現役アイドルなのにブスいじりを軽々しく笑いにかえてしまうし、見ていて不快な感じはしない。最大の転機であっただろうスキャンダルすら好機にかえてしまった辺りで向かうところ敵なしなんだな、この女すごいな、と思った事をよく覚えてる。

多分、彼女にとって天職なんだろう。

アイドルというよりもタレントになってた。48グループの枠をとうに超えて、一個人の指原莉乃としていろんな世代に認知されている。

そんな彼女も11月21日で26歳。

26歳。

人生どこから下り坂か、という観点から鑑みればきっとまだまだなんだろう。けれど人間の体は20歳がピークだ。今もみんな平等に体の細胞ひとつひとつが成長しては老いて、いつか死ぬ。

彼女と同い年の私も26歳になった。

察してほしい。

普段一般人に擬態してても根がオタクなのでインターネットに自分の歳はこんな事でもなければ書かないし顔も晒さないけれど、26歳って結構しんどくない?一昔前だったら女はクリスマスケーキに例えられる話を聞くけど、そういうの耳にする度に、仕事場のおばちゃん達が歳を理由に自分には価値がない旨の発言をする度にまるで自分の価値が年齢しかないような絶望感に苛まれる。

だから同い年でまだアイドルをしている彼女に会いに行く事にした。


正直さ、握手券が入ってるCD買うのめちゃくちゃハードル高くない?

握手券が入ってるCDイコール劇場盤、まではわかったの。理解できたの。

でも劇場盤のサイト死ぬほど見辛くない?

握手に付随した特典盛りすぎて意味わかんなくない?

あれ作った人は初見で理解できると思ってんの?

普通は小学生が見ても理解できるように作るんじゃないの?

ちょっとだけ興味持って調べたらあの文章の羅列だと買う気失せるよね?

比較的文章を読むことに抵抗がない私ですら、あ、無理、って思うからには多分あのページ見た人の9割は、あ、無理、って思ってると思う。

お目当ての誰がどの時間に居て、握手に付随してどの特典がついているのかわかりにくいにも程があるなあ、と苛立ちながら見てた。

「センチメンタルトレイン」の再販。私でも顔と名前が一致してるような柏木さんやおぎゆかちゃんとかの選抜メンバー達はみんなほぼ完売してて、指原さんは23日だけ枠が空いていたから上限であった3部に5枚、5部に5枚抽選に応募してみた。まあ当たらないだろう、とタカをくくってたら3部5枚、5部2枚当たった。

あ、あれ…?意外と当たるんだ…?と困惑したのを覚えてる。正直1枚当たればいいかなと思ってたのに。


そんなわけで今日行ってきた。勤労感謝の日、秋の三連休の初日。

握手会行った後ポケモンセンター行こうと思ってたんだけど、思いの外体調悪くてマジで握手のためだけに東京方面へ出かけた事になった。さよなら交通費。

欅坂の時に比べたら警備がめちゃくちゃしっかりとした印象だった。手荷物検査のレーンは多いし、女性専用手荷物検査のレーンも完備してるし、飲み物飲まされるのは一緒だけどハンドクリームを少量手に出して確認してもらう。

指原さんの隣のレーンが身障者用のレーンで、そこには警備の人が必ずずっと居た。

「昔に比べて人が少なくなった」という言葉をインターネットの端っこで見かけたのだけど、これで少なくなったんだ…と困惑するくらいには田舎のお祭り状態だった。(3部に比べて5部は結構人が居て、待機列の人口密度が全然違った)

充電スペースとパイプ椅子スペースがあったのも欅と違うところ。

あと欅はスタッフはみんな男でスーツだったのに対して、此処ではスタッフはビブスを着ていた。スタッフは大学生ぽい女の子が多かった。

(個人的な感想なんだけど、欅に比べて随分とファン層の年齢が高い印象はあった。正直めちゃくちゃびっくりした。欅の全国握手会は学生ぽい子たちがめちゃくちゃ多くて、並んでる最中も「テストが〜」「受験が〜」みたいな、学校にまつわることばかりで私の方が肩身が狭かったのに、この握手会は8,9割くらいおっさんだった。同じアイドルなのに全然違う…ってめちゃくちゃ戸惑っておののいた)

3部の列に並んで5枚出したら「5枚出しは30分からなんです」と椅子に座ってレーンで身分証明証確認兼枚数を確認する女の子に声をかけられた。

「あと6分で30分になるので待ちますか?それか3枚で行って、また並び直して残りを使いますか?」

2回並んでもなあ、と思って補助要員であるビブスのお姉さんの隣で待つ事を選んだ。

握手だけ、もしくは握手+サインになるか、のiPad四択抽選をぼんやりと眺めてた。5〜8人に1人くらいの確率で当たった音が鳴ってた。1日通して抽選で100人に当たるとサイトには書いてあった。意外と当たらないな、という印象だった。

「あともう少しですよ」とビブスのお姉さんが気遣って声をかけてくれたので「私みたいにルール知らないで来ちゃう人とか居るんですか?」と聞くと「みなさん常連さんが多いので、あんまりないですね」と言っていた。口ぶりから察するに何度もこのバイトをやってるのだと思う。

30分になって、列の間に入れてもらう。5枚のうち、2枚目でサインが出た。サインではアイドルにどんな名前で書いてほしいのかを書く用紙を渡された。漢字、ひらがな、カタカナ、英字可だけど8文字以上は不可。あと略称も不可だと書かれていた。

その氏名に付随して「様・さん・くん・ちゃん」が選べるというので、漢字でのフルネームに様付けしてもらった。一番画数が多いパターン。書く方からしたらめちゃくちゃめんどくさいやつ。

初めて生で見た指原莉乃はとにかく色が白かった。

「お願いします…」

「あ!おめでとう」

そこで一回握手してもらって、指原さんは文字を書き始める。隣の監視役のおじさんからハイと透明なビニール袋を渡された。何に使うのか全く分からなかったので両手で持ったまま指原さんの方を見る。

「あ、名前間違えた。書き直すね」

かなり序盤だったから、本来突き出ない部分を突き出して書いたんだと思う。

「26歳おめでとうございます」

「うん、ありがとう」

はっきり言って、興奮状態でこれ以降何を話したのか正直よく覚えてない。

確か、長野から来たこと(遠かったでしょう、と気遣ってくれた)

途中ディズニーでみんな電車を降りていくこと(みんなディズニー行くよ、と彼女も言っていた)

初めてAKBの握手会にきたこと(「普段は誰のとこに行くの?」というので「誰とかなくて、初めてなんです」と言ったら驚かれた)

意外と声低いんですね、と言ったら「バラエティは頑張って声高くしてるんだよ〜」と言ってた。

「まもなくです」「お時間です」とタイマー役のお姉さんが言うので、喋ったらいけないのかと思って途中から黙ってサインする姿を眺めてた。伏し目がちな姿が美人だな、と思った。

書き終わって、また握手してもらって、カードを渡されて退場。そこでようやくビニール袋はカードを入れるためのものだと気づいた。

握手してもらったことと、サインをもらえたことに妙に胸が高鳴って、何も考えられなくて何も用がないのに周辺を歩いた。

一階の外にはキッチンカーが出てて、本当にお祭りみたいだな、と思った。


それが3部の話。


ご飯のために外に出て、5部のために戻った。正直、行っても何話そう…とは思ったのだけど、まあ数秒程度だし褒めとこと思って並ぶ。

2枚とも握手。

開始15分は来なくて、3部よりも圧倒的な人口密度と元からの体調不良で具合悪くなりそうだったのをしゃがみこんで堪えてた。3部と全然違う人混み……。これで昔より少なくなったとか冗談でしょ……。さっきまでスカスカだった隣のレーンも行列ができてた。(後で調べたらドガースに似てるという、松岡はなちゃんの列だった)

Twitterでじゅりなと2shot撮って載せてるのが開始時間である15時を過ぎた15時2分で、この女…と思ったのだけど、まあじゅりなが笑顔ならいいか。


指原さんと握手してもらって、とりあえず容姿を褒めた。

「私?!いやいや可愛くないって〜」

握手してた手を離し、自身を指さしていやいや〜と手を横に振る姿が、バラエティで見る指原莉乃そのもので感動した。

「リップ可愛いし、色白いし似合ってるよ」

思いがけない言葉に喉の奥がひりついた。まさかさらりと褒め返してくるとは思わなくてびっくりした。マジで。最初何言ってるのか理解できなくて、言葉の意味を理解してからはきっと顔がめちゃくちゃ赤くなってたと思う。

そんなの言われたらありがとうしか返せないじゃん??

まもなくですとタイマー役のお姉さんが言う。

「ありがとう。また来てね」と笑顔でバイバイした。


ねえ指原莉乃すごくない?

たった数秒で、見ず知らずの女に褒められたらきちんと褒め返してくそのスタイル。

本心からでなくてもいいの。うわべでもいいの。リップサービスでいいの。私はあなたのことが好きで時間とお金をかけてここに来てる、そのことを真摯に受け取ってくれたらそれでよかったの。なのにたった数秒の出来事で相手がほしがってる言葉以上を返していく、この感じ。だからこの人はアイドルのトップに立ち続けられるんだと理解した。間違いなく、彼女はプロのアイドルだった。

顔面だけならこの前握手してもらった加藤史帆ちゃんの方が断然小さくて整ってるんだけど、そういうのじゃないの、顔とかじゃないの。褒め返すのも誰にでも言ってるんだろうけど、私はとにかく嬉しかったの。たった数秒で正解を弾き出してくれた事に驚きと感謝と尊敬しかない。

こんなの好きになるに決まってるじゃん……。


とりあえずサインは額縁さがして飾ろうと思います。

181007 欅坂の全国握手会に行ったはなし

天気予報によると予想最高気温30度。日本列島観光コースをした24号と同じコースで生まれた台風25号はめでたく北へ逸れた関係で、高気圧に覆われ夏日が予想された関東地方。ただし今は10月。そう、10月。

え、半袖でいけるの?長袖の方がいいの?

正直長袖で行くつもりだったのだけど、半袖を引っ張り出してきた。黒のキャミソールと黒レースのトップスのアンサンブル。完全夏仕様。

結論から言って、半袖でよかった。長袖着てたら熱中症になってたと思う。

行きのバスではみんな長袖着てたから失敗したかなとか思ったけど、そんな事はなかった。半袖で正解だった。

幕張メッセ、超暑かった。日陰に入ればマシだったんだけど、日差しが死ぬかと思った。朝日が顔を出す前に家を出て京葉線蘇我行きの電車の中、舞浜のあたりでてちがミニライブ欠席する情報を知って、ミニライブの列に9時20分くらいに並んだのだけど、前のお兄さんの長袖シャツは背中一面汗染みが浮いていた。家でメイクしてる時は私わりとかわいいんじゃない?今日盛れてない?とか思ったけど、そんな事はなかったし、あの直射日光で全部駄目になったと思う。夏は絶対行かない。


並んでる年齢層は全体的に10代と20代で構成されていて、中年男性は少ない印象。中年女性は見受けられなかった。男女比は7:3か6:4くらい。

学校が、テストが、受験が。

そんなワードが飛び交っていて、学生なんだな、いいなあ、とぼんやりと思った。普段周囲が中年ばかりだから、親の介護が、老後が、息子が婚活しない、そんな話をずっと聞いてるから。

幕張メッセの駐車場をぐるぐると回り(途中ロープもコーンもない箇所が多数あったのに無理矢理な割り込みもなかったあたり、日本人らしいよね、と後ろの男の子が口にしていた)ホールに入ったのが10時20分。

途中「女性は左側、男性は右側へお願いします」のアナウンスが拡声器で流れる。女性専用レーンに並ぶ。

流れとしては握手券をスタッフのお姉さんに渡して(即破られてゴミ袋行き)後ろで待機してる別のスタッフのお姉さんがブロックを記載したチケットを手渡してくれる。

少し前で一見女性には見えないベリーショートの人が「女性ですか?」と問われて、多分女だと告げたのかそのまま問題なく入っていた。

チケットが足りなくなったのか、私の番に止められて、別の所からやってきたチケットの束を持ったスタッフとチケットを手渡ししてくれるスタッフのお姉さんが何か話していて、少し待つ。

チケット渡しのお姉さんがチケットを渡してくれた。

「書かれてあるのは違うブロックですけど、B-2へ行ってください」

渡されたのはDブロックのチケットだった。

B-2の出入り口で待機してるお兄さんにチケットを差し出すと怪訝な顔をされた。

B-2に行ってくださいと説明されましたと伝えると「そういう指示があったなら」とB-2に入れてくれた。普通は先にお兄さんの方に説明してから客に渡すんじゃ…とか思ったけど、まあ、みんな派遣だろうし、入れてくれたし。

そこからミニライブ開始まで1時間10分、ずっと立って待ってた。

A-3とB-2が女性専用レーンの様子だった。開始までの間、何故か野郎のダミ声で「やっほー」の連呼。謎。面白くないのでやめてほしいって周囲の女の子がぼやく。

女の子達が「なぁちゃん卒業おめでとうって感じ」「卒業したら秒で結婚するんじゃない?」「あー、堀未央奈とか」「するする。よく知らないけど若手俳優の彼氏が居るんでしょ?」「どうせ飛鳥はなんでもない一般人と結婚するんだよ」と口にしていた。

途中、ペンライトを売りに通路を練り歩くお姉さん達と「前に一歩ずつ詰めてください」のお兄さんが交互に来てた。40分前くらいからはもう来なくなっていたので、満員扱いになったのだと思う。(Twitterで検索かけるとやっぱり女性エリア満員で一般ブロックに回された、というツイートを見かけた)

10分前に始まった前説アナウンスは潮ちゃんと富田ちゃん。声がかわいい。ごめん、今夏から欅坂に興味を持ったにわかだから私は詳しく知らない。

暗転を始めてovertureからの"student dance"。

女性アイドルの現場は初めてだったんだけど、男性のかけ声は通るなあ、声出してる人楽しくて仕方ないんだろうなあ、と。

MCに入って、理佐ちゃんが昨日TGCに出た事に触れ、話題は「秋といえば」。

秋と言えば芸術の秋。(オダナナが三浦しをん読んでるって言ってた)

秋といえばスポーツの秋。(茜ちゃんが運動会やりたいね、って言ってた)

秋といえば食欲の秋。(しーちゃんにおススメの食べ物教えてね、と言っていた)

秋といえば欅坂の秋と言ってもらえるよう頑張ります、で締めていた。(と思う。メモの類取ってないからうる覚え

そこから"音楽室に片想い"の三人だけ残って残りははけてった。

乃木坂に憧れてオーディション受けた子達はきっとこういうかわいい感じの曲がみんなやりたくてアイドルなったんだろうなあと思いながら見てたら、終わった途端ハッピーバースデーが流れ出す。

21のロウソクが立てられたバースデーケーキを理佐ちゃんがにこにこ笑いながら持って登場。

サプライズで尾関ちゃんの誕生日祝い。

ロウソクの火を消す尾関ちゃん可愛かった。

"302号室"から"ハッピーオーラ"。

ひらがなちゃん達がTGCでライブをしたよ、2回目の北九州行ったよ、女性達の前でライブやって楽しかったよ、まどマギの舞台が円盤化されるよ、楽しみだよ、ザンビもあるよ、見に来てね、という話をにこにこしながら言うから、ああ、可愛いねえ、頑張ったんだねえ、よかったねえと孫を見る気持ちになった。(女性向け2.5だと公演やる前から円盤化決定されてるものが多い印象なんだけど、男性向けだとないの?会場での予約受付しないの?公演見たそのテンションで円盤予約したりしないの?)

"I'm out"

ふーちゃんが一番でセンター張ってて、ああ、よかったね、ってちょっとだけ胸の奥が動いて、瞼の奥が潤んだ。元気で楽しく笑顔で幸せでいてくれたらそれでいいけど、やっぱり推しがセンター張ると嬉しくない?

"アンビバレント"

センター不在だったので、いつかてちが居る演出を見たいなあと思う。

ミニライブが終わったのが12時15分。予定だと12時30分だったのだけど、早めに切り上げられた。

後ろの女の子達が「顔死んでたね、しーちゃんとか」「昨日北九州からのこれだもんね。話振らないであげて、って感じ」と言っていた。

規制退場は女性専用レーンからで、出口から外へ出るとポスターを広げた人や「グッズを全握券と交換しませんか」と書かれたスケブを広げてる人達が。

すごいなあ、邪魔だなあ、と思いながらぐるっと回って先ほど並んでた場所に出来てた握手会の列へ並ぶ。


規制退場の関係で12時20分くらいから並びだして、手荷物検査にたどり着いたのが14時。1時間30分。汗でファンデ完全に剥げた。正直もう並びたくない。乃木坂はもっと酷いらしいけど、これもそこそこ酷いと思う。夢の国のアトラクションだったら即諦めて別のに乗る。わかってて並んだんだろ、と言われそうだけど、ミニライブも握手会も並んでる最中から「今回が過去で一番多いんじゃないか」と周囲が何度も騒めいてた。

外で並んでる最中、ワンショットのみっきーと佐藤ノアちゃんが並んでた。周囲の女の子が「みっきー!みっきーいた!!」「ノアちゃん!!」と色めき立ってて、「ノアちゃんこれもらって!」「えっいいの?ありがとう!」ってやり取りを聞きながら(何あげてたのかは知らない)YouTuberすごいなあと疲れた頭で思った。ノアちゃんは可愛くて、メイクばっちりで、あんなに暑かったのに全然メイク落ちてなくって感動した。美人は汗腺もコントロールできるのか…。

中入ってからも男子達に握手求められててちょっと笑った。

15時までには会場を出なくてはいけない私に残されたのは1時間だったのだけど、とりあえず理佐ちゃん、べりか、菅井さん、ねるちゃん個人レーンの方々はは二回折り返した長蛇の列ができてたので加藤史帆ちゃんと握手してきた。最初全然動かなくて30分くらい並んだ。

単刀直入に言うと、としちゃんは顔が小さくて、色が白くて、細かった。理想の女の子。誰が見ても可愛いと言う理想形。整った目も鼻も口もバランスよく顔に収まってる。本人も体型維持やスキンケアや保湿やメンテナンス等多くの努力をしている事は理解してるけど、私もああなりたかった。大抵の女の子はああなりたかったってみんな答えると思う。衣装の白さも相まって、これが天使なんだな、と思った。

ただ黒目が茶色で不自然な程大きかったから、間違いなくカラコン入ってる。(自前だったらごめん。でもちょっと似合ってなかった。それだけがマイナスポイント)

差し出された白い手を取り「かわいい〜!」と言うと、「ありがとう」って優雅に微笑んでくれた。

「あの、私の事もかわいいって言ってくれませんか?」

「かわ…」

黒目が揺れて戸惑った顔をされた。多分半分聞き取れなかったんだと思う。これが正解か?という感じで恐る恐る彼女は口にする。

「かわいい」\お時間でーす/

「ありがとう」\お時間でーす/

真面目な話、暑さでメイク剥げた女にかわいいを強要されて可哀想だと思ったけど、私、としちゃんにかわいいって言ってもらえたから満足してる。

隣のねるちゃんのレーンから出てきた男の子達の後ろに並んでレーンの外へ出る。「かわいいは正義だ」と興奮気味にしきりに言っていた。私もそう思う。

かわいいは正義だ。女の子は生まれつき容姿で優劣をつけられる。私は自分がそれほどかわいいわけではない事を知っている。瞳が大きいねと褒められても自分以上に瞳が大きい女の子を知っている。綺麗な二重ねと褒められてもメザイクなり整形なりで目なんかどうにでもなる時代だと知っている。私は目よりも鼻と口を直したい。でもきっと毎日アイメイクに力を入れてる子は目をなおしたくて仕方ないんだろうなと思う。ないものねだり。

アイドルには選ばれた女の子しかなれない。10年前、AKB48の台頭で"普通の女の子がアイドルになれる時代"になった。でも、普通の女の子はアイドルにはなれない。みんな選ばれた女の子なんだよ。そんな女の子達の人生の一部をファンと、彼女達を運営する大人は糧にして生きてる。

だからネットで彼女たちのことをブスって書くやつは滅べばいいのに。


あと券が一枚あったのだけど、ポスターに交換してもな、と思ったので(並んでる最中「せめて何枚かに直筆があるならポスターでもいいんだけど、ただの紙だろ」と言ってた男の人が居た)ふーちゃんと鈴本さんのレーンに並んだ。15分。

三週間前の個握でふーちゃんを初めて見た時顔の小ささに驚いたのだけど、今回としちゃんや鈴本さんを見て、ああ、これがアイドルのスタンダードなんだな、と気づいた。

特に伝えたい事はなかったけど無言なのもどうかと思ったので、差し出された鈴本さんの手を取り「かわいい」とだけ言う。私よりも小さい彼女はふっと微笑んでた。口の端を上げて、ありがとうも何も言わない。ただ微笑むだけ。つよいな、と思った。媚びない美しさ。彼女の髪の色が品のある金髪で、私は職業柄派手に染められないからめちゃくちゃ羨ましかった。

お互い見つめ合うだけでそのままお時間になり、剥がされてふーちゃんへ。

「かわいい」

「ありがとう!あ、さっき来てくれたよね?」

「え、来てない…」\お時間でーす/

「あ、はじめて?そっかまたね」

向こうから話しかけてくるとは思ってなかったので、多分、これいわゆる事故なんだと思うんだけど、ふーちゃんはやっぱり可愛かったし、もしかしたら来てくれたのかな?って人に自ら声をかけていく勇気とスタンスはすごいなと、もっと好きになった。

ただふーちゃん、涙袋のピンクのアイシャドウはちょっと不自然な感じで濃すぎかなって私思うな。本人は可愛かったけどね。

あとダイエット頑張ろうと思います。目指せマイナス5kg。私も可愛くなりたい。彼女達みたいにはなれないけど、可愛くなりたい。

そして出来る事なら、痩せてまたふーちゃんに会いに行きたい。

ただ全国握手会はもういい。行ってもミニライブだけ、とかの方がいい。それか翌日休み取った方がいい。うまれてはじめてチョコラBBハイパーを飲んだ。効果はよくわからなかったけど、日常生活に支障をきたさない程度の体力を回復したので、多分効いてるんだと思う。






関係のない追記

握手会の後別の現場で俳優さんと握手してもらった。

ああ、前のお姉さんのヘアメイク綺麗だな、美容院行ってやってもらったんだろうな、リアコなのかな、と思いながら、私の番で握手をしてもらった。

私は推しの瞳には正直1秒も映りたくないタイプなので、握手して「ありがとう」だけ言って離れようとしたら、その俳優さんは握手したまま「今日は来てくれてありがとう。また来てね」と微笑んでくれて、胸にすとんと言葉が落ちていった。

みんなに言ってる言葉なんだろうけれど、ファンとして最上級の言葉だと思った。

此処に来るまでにもお金と時間と体力をかけて私は来てる。みんなそうだと思う。いろんな選択肢の中から選んでそこに来てる。

私結局オタクだから、お金をかけないと、声を上げないと人気商売は成り立たない事を知っている。ガラガラの客席は寂しい。

彼がかけてくれた言葉は、私が一方的に彼を好きでいる事を肯定してくれた気がした。

たったそれだけで報われたような気持ちになった。気持ちを汲み取ってくれたように感じた。

かわいいを強要させたりするんじゃなくて、無言で微笑まれるんじゃなくって、ありがとうって、また来てね、って、相手が自ら言ってくれる、たったそれだけでよかったんだ。

彼のことを好きになって、好きでいてよかったな、と思った。出来ることなら幸せに生きてほしい。

180915 欅坂の個別握手会に行ったはなし


今日初めて握手会に行った。欅坂46の7thシングル「アンビバレント」の個別握手会。

私は長野に住んでるから、なんなら幕張メッセに行くのも初めてだった。幕張メッセまで駅からそこそこ歩く事を知った。海浜幕張駅のホームに降りた時、前にいたおじさんの斜め掛けバッグにドナルドダックのサインが書かれていた。ここら辺の人は気軽にディズニーに行けるんだろうな。朝出かける時は地元が土砂降りだったのでビニール傘を片手に持って歩いたのだけど、都会の人は持ってない人の方が多くて(それでも午前中は雨の予報だったし、小雨は降ってた)みんなどうやって雨を凌いでるのか不思議。

握手をするたった数秒のために千葉に行くのか、と自分も自重気味に思ってたし、きっと友達や身近な人に話したら馬鹿にされると思って、なんとなく言えなかった。

(私に欅坂を勧めた友達に告げたら「自分は推しの目に映りたくないから」と言われた。言いたいことはよくわかる)

高速バスに乗って(秋の三連休初日の雨で案の定中央道は渋滞が発生してた)握手会とは全く関係ないお芝居を観劇してから幕張に向かった。お芝居を観に行く日と握手会の日程がかぶらないと多分行くことはなかったと思う。

私が今回握手してもらう女の子は齋藤冬優花ちゃんで、あだ名はふーちゃん。メンバーの中では比較的人気がなくて、一番後ろの列の左から二番目でダンスをしてる事が多い子。disってる訳じゃなくて事実だから仕方ない。


私は欅坂について詳しく知る前までは"スカートの裾が同じ高さに調節してある"というTwitterからの知識と紅白で見た負のオーラを纏った激しいダンスと「僕は嫌だ」だけで、友達に勧められない限りはきっと一生深く知ろうとは思わなかったと思う。仕事の人間関係がうまくいかなくてボロボロになって、愚痴を聞いてもらっていたカフェで友達に「何か気晴らしになるお勧めってない?」と聞いた時に欅坂を勧められた。その時にスマホで歴代のPVを一緒に見た。wifiに繋げてない状態だったから、明日から通信制限かかるんじゃないかって心配しながら。

「このセンターの子がてちって言ってね、最年少なんだよ、かっこいいよね」とスマホに映る一回り近く歳下の女の子について目をキラキラして話しかけてくるから、こんな厨二病みたいな曲この歳でよく好きになるよねと言いそうになったのを飲み込んで「私が中高生だったら多分好きになってたと思う」と口にした。

私が中高生だった頃、AKBの天下だった。あっちゃん、優子ちゃん、たかみな、まゆゆ、麻里子様、ともちん、こじはる。神7の名前はきちんと覚えてるし、文化祭は彼女たちのダンスを踊った事もある。「増田有華 現在」とか「宮澤佐江 現在」とか「河西智美 現在」とか検索かけるくらいには気にかけてる。幸せに生きていてくれたら、それでいい。きっといろんな人と恋をして素敵な女性になってるんだろうな。

「今はもうAKBよりも乃木坂の方が人気だし、一番勢いがあるのは欅坂なんだよ」と友達は言っていた。どうしてそんなに詳しいの、と困惑すると彼女は「家族が好きだから」と微笑んでいた。

「デビュー曲がサイレントマジョリティーって言って、"自分らしく生きる、大人たちに支配されない"って歌ってる曲なんだけど、歌ってる彼女たちが一番大人に支配されてるのに?って思ったんだけど、かっこいい女の子ってやっぱいいよね」「てちが不安定になっちゃって、紅白とか見てて可哀想だった」「欅坂はアイドルって言うより、アーティスト」「熱愛報道で休養中のメンバーが居るんだけど、アイドルって言うかアーティストだから、休養なんか全然しなくていいのに」「ライブがあったら一緒に行こうね」

友達がいつかあるかもしれない未来の話をしてくれたからなのか、少しだけ気が楽になって、その時は涙を拭きながらゆっくりと頷いた。


私がふーちゃんの事を気にしたのは、彼女たちの冠番組である"欅って書けない"がYouTubeのお勧め動画に出てきて、そのまま流れで見てたときのこと。地元である長野県では放送されてない番組。友達との会話で番組の存在を知ってはいたけれど、私も大人なので違法アップロードはなるべく見ないようにしてたけれども、その時はつい見てしまった。

シングルの選抜メンバーの発表の回。何のシングルのだったかはよく覚えてない。21人全員選抜とはいえ、みんな固い表情で、自分の名前がいつ呼ばれるかじっと怯えたようなこわばった顔で席で待ってた。ふーちゃんはすぐに呼ばれた。固い表情のまま、指定された位置に移動してた。

どこの世界にも競争はつきもので、芸能界という煌びやかな世界ならより激しい事だろう。その競争の中にいるその子に興味を持った。

みんな大好きグーグル先生に齋藤冬優花ちゃんについて聞いたら、関連キーワードが悪口のようなもので眉をひそめた。

"さいとうふゆか 不人気""さいとうふゆか 嫌い""齋藤不愉快""

基本的に関連キーワードはネガティブなものが多い傾向にあるとはいえ、齋藤不愉快はただの悪口じゃん。ないわ。

どうやら彼女はわりと欅坂のファンから嫌われていたらしい。金魚の黒目が取れたことを笑いの種にした事でサイコパスと呼ばれたり、"欅って書けない"でリーダーでもないのに出しゃばってる、全員選抜じゃなくなったら真っ先に落とされる、だとか。私はあまり知らないけれど(番組が放送されない地域に住んでいます)だからって言って、まだハタチの女の子に悪口みたいな呼び名がまかり通るのはなんだか違う気がする。

彼女への批判をまとめブログで読んでて一番、ああ、とため息をついたのが「金払ってまで握手してもらおうとは思わない」の一言だった。握手会という金を巻き上げるシステムにおいて、ふーちゃんはCD一枚に値する価値がないとその人は感じたのだな、と。

可愛い女の子はわりとそこら辺にいる。おしゃれをするのは自分のためだったり、世間体だったり、好きな人に振り向いてもらうためだったり様々だけれど、可愛い女の子はわりといる。人口密度が高い都会なら少し外を歩いただけでゴロゴロ居る。はっきり言ってみんな可愛い。ルミネのショップ店員さんもマルイのショップ店員さんもパルコのショップ店員さんもみんなみんな可愛い。109とかやばい。足細い。華奢。普段何食べてんの?花の蜜?ってくらいスタイルがいい。

何に価値を見出すのかは個人の自由だし、いちいちケチつけるのもおかしな話だ。ふーちゃんはその人にとっては街中に居るその子たちと同類でしかないんだな、と少し寂しく感じた。


多分私はふーちゃんについて知れば知るほど、勝手な同情だったり、憐れみだったり、支えてあげたいというような気持ちを持っていたんだと思う。いいなあ、好きだなあ、可愛いなあ、という気持ちを積もらせて。

毎日ブログを更新してること。ずっと端のポジションでも腐らずにダンスを頑張ってること。ふーちゃんが欅坂を好きな気持ち。

それらに混じって、彼女の握手会を完売させたい、というふーちゃんのファン達の気持ちをTwitterで見かけた。

人生で一回くらい、同性の、年下のアイドルと握手してみてもいいんじゃないか。


そんなわけで、今日、ふーちゃんと握手してきた。

幕張メッセの国際展示場5.6のホールの第4部。16時30分から18時の回。着いたのは15時30分くらいだったと思う。早いかなとか思ってたんだけど、とっくに待機列は出来てた。「第4部最後列」のパネルが人混みの中で飛び出てる。個別握手会はまだ人が少ない方だと事前にレポを見てたから、ホールを見下げてまず人の密度に苦笑い。田舎だとお祭りの時くらいしかこんな状態にはならない。階段を降りたら、こもった熱気に上着を脱いだ。夏だったら熱中症で倒れる人が出るんだろうなと予測できる。蒸し風呂状態。

個別握手会であの人数なら全国握手会はどんな風なんだろう。一部のブログだと初詣同然だと書いてあったのだけれど。

握手券の確認後、手荷物検査。その後にすぐさま列に並ぼうとしたら金属探知機で検査をされた。警備員のおじちゃんに「素通りしないで」と慌てたように言われた。すみません、初めてなんです、と言い訳をした。

私はほぼ女しか居ないような現場にしか行ったことがないから、周囲が男性ばかりなのが純粋に凄いなと思った。もちろん周囲の列を見渡せば小学生の女の子達や女子高生や私よりも年上の女性もいた。夫婦で来てるのか、赤子を背負った男女も。男女比は8:2か9:1くらい。男性もイケメンからオタクっぽい人、中学生ぽい少年から中高年まで様々。

男オタは痛バは持たないのだな、という文化の違いを目の当たりにした。ただそれは二次元と三次元での違いかもしれない。代わりにチケットホルダーに推しのブロマイドと自分の名前を入れたものを入れてる人が多いように見うけられた。あと推しの名前が入ったマフラータオルを腰からぶら下げてる人も居て、フラダンスのパウスカートみたい。名札をつけてる女性もいた。認知厨だ。


待ち時間に生誕祭という催しがあって、誕生日が近かったらしい小坂菜緒ちゃんにハッピーバースデーを歌ったのだけれど、後ろに並んでた男の子たちいわく「音源付きは珍しい。金がかかってる。さっすが、こさかな」らしい。周囲の野郎どもの身長で見えなかったので、そういうのがあるんだなあとぼんやり思いながら男達の後頭部眺めてた。

後ろの男の子は握手会の剥がしのバイトをしたことがあるらしく、「×~●担当ね、って言われても中からだとどのレーンとか番号貼られてないし見分けもつかないし覚えられないから、メンバーで覚えるしかないと思ってHKTのメンバーは覚えた」「こっちからアイドルに話しかけちゃいけない決まり」「握手会のバイトは1日で万超えだけど拘束時間が長い」「握手会で得た金を握手会で使うのか、ウケるな」と友達に喋っていて、ああ、楽しそうだな、と思った。感覚が遊園地のアトラクション待ちそのもの。

前のおじちゃんは困ったように「これ一体いつ使えるんですかね」と平手ちゃんの握手券をお仲間らしいおじちゃんに見せていた。握手会でファンに発煙筒を投げつけられた事もある平手ちゃんは多分卒業まで握手会免除されるんじゃないのかな、と私は勝手に思ってる。

スーツ姿のバイトさんに握手券を再び見せて、今度は個別レーンに入った。"齋藤冬優花 第4部 16時30分~18時"のプリントアウトされた文字の下に貼り付けられているオレンジ色の紙。手書きで浴衣とか夏祭りみたいな装飾があって、他のレーンはそういう飾りつけをしてないからふーちゃんが持参したんだな、と理解した。(すぐ近くに印刷された撮影禁止のゴシック体の文字があったから、過去誰か撮ったんだなと思う)

今度は握手券を渡して、枚数を記入してもらって、免許証見せて、また列に並ぶ。

個別レーンに並んでからはすぐだった。人気メンバーは個別レーンに並ぶのもまた長めの列ができてて、目に見える格差が出来てた。全国握手会だとこれがより明確なんだろう。

私が並んだ後、三人くらい男性を挟んで四人女性が並んでたから、ふーちゃんは女性ファンが多いのかな、と思った。(女性アイドルのターゲット層は基本的に男性で、お金を使うのも男の人と相場が決まってるので、ちょっとだけ握手券が売れない一因なのかな、と勝手に思った。私も二枚だけしか買ってないし、でも普通の金銭感覚ならその握手券二枚のお金で数秒の握手じゃなくても映画一本見られるよ?美味しいご飯食べられるんだよ?アディクションのアイシャドウ買えるんだよ?握手したらたった数秒なのに)

パーテーションの中に入ると、浴衣姿のふーちゃんが見えた。顔が小さかった。骨格からして私とは違う。不人気と囃し立てられても彼女もアイドルとして選ばれた人だったんだ、と当たり前の事に気付いた。正直顔が小さいとは思ってなかったから、めちゃくちゃビビった。今泉佑唯ちゃんは写真見ただけでこの子間違いなく顔が小さいと察したから、顔が小さくてもまだわかるけど(実物見たことありません)ふーちゃんの顔が小さいとは心の底から思ってなかった。失礼だけど、正直そこら辺に居る女の子なんだろうと思ってたけど違った。アイドルとして選ばれた顔のサイズだった。ごめん、齋藤冬優花なめてた。

係員に握手券渡して手のひらを見せる。

前の人が終わって、私の番。「二枚です」と係員が剥がしの人に伝える。

差し出された彼女の手を握る。同じくらいの目線の高さ。小さい顔。ふーちゃんの顔が小さい事に気が動転して、正直言おうと思ってたことは言えなかった。

「はじめまして!」

「はじめまして~」

「かわいい~!顔小さいですね!」

「え?そうかな~?ありがとう」

「あの、今度iPhone新しくしようと思ってるんですけど」

「そろそろお時間です」と剥がしの人。

「何色がいいと思いますか」

「えっと、何が?」ふーちゃんは少し困った顔をしてた。うまく聞き取れなかったらしい。

「お時間です」剥がされる。

iPhone!」

「っ、ピンク!」

「わかった!ありがとう!」

「ありがと~」

剥がしに剥がされながら、手を振ってパーテーションの外へ。

想像以上に短くって、二枚でこれか、という落胆と、困った顔をさせてしまったな、というモヤモヤが残った。たった数秒。贅沢な2600円の使い方。

きっと「顔が小さい」も「かわいい」も言われ慣れてるんだろうな、という感じはした。私は美人の謙遜が嫌いなので("顔がいい"は才能だと思ってる)できれば「知ってる」「わかってる」「そうでしょ?」って肯定して微笑んでくれた方が気が楽。美人は美人である事に誇りを持ってほしい。謙遜されても、自分で自分のこと可愛いと思ってるからアイドルになったんでしょ……としか思わない。

ブログ見てます、毎日楽しみにしてます、元気でね、幸せに生きてね、無理しないでね、そんな事をファンとして伝えたかったけど、無理だった。欅坂46齋藤冬優花のほんの一面しか知らない私がそんな事を伝えるのはおこがましかったのかもしれない。それにアイドルという"見られる仕事"とはいえ、見ず知らずの女からそんな感情をぶつけられても気持ち悪いだけだ。

なんでiPhoneの色なんか聞いたんだ、と言われそうだけど、行きのバスの中で次の機種についてめちゃくちゃ悩んでたんだからつい出てしまった。iPhone6を4年も使ったんだし、最近はメルカリもヤフオクのアプリも見てる最中に落ちるようになってしまったから、そろそろ機種変してもいいと思う。アプリが勝手に落ちなきゃまだ使いたかった。

あとふーちゃんごめんね、新しい機種にはピンクはなかったよ。ケースをピンクにするね。きっとそんな事、彼女は次の相手が来た瞬間に忘れただろうけど。



握手終わってカゴに入れていたバッグを手にして顔を上げて真っ先に思ったのが、アイドルってすごい。

すごいんだよ。

私は秋元康大先生がとても苦手で、48グループが恋する女の子の歌を歌ってもどうせ秋元康が書いてるんだろ、欅坂が大人に反抗する子供の歌を歌っててもどうせ秋元康が書いてるんだろ、って、どんな曲聞いても秋元康の顔が浮かぶから何も感じないしむしろ嫌悪感がわくので(300万枚売ったteacher teacherの歌詞は最高に気持ち悪い)握手会も、うわ…(笑)って感じだったんだけど、今回握手をしてもらって、課金しまくる人の気持ちも少しだけわかった気がした。多分、追加で購入できますよ、と言われたらあと二枚くらい買ってたかもしれない。可愛いな、好きだな、と一方的に思っていた相手が確かにそこに居て、笑顔で接してくれる空間(たった数秒だけど)が提供されてる。そりゃハマる人はハマるわ。

チェキや握手やお渡し会やライブが終わった後は明日なんか来なくてもいいと思える多幸感や、明日また頑張ろうと思える充足感に満ちてるのだけれど、今回はただただアイドルってすごいって感情しかわかなかった。私の知らない世界が確かにそこにはあった。

アイドルってすごい。


出口付近でやたら並んでるレーンがあるなと思ったらべりさだった。さすがノンノモデル。


軽くフリースペースを眺めて帰った。17時になっていた。生誕祭企画のスペースでふーちゃんにお誕生日おめでとうのメッセージくらい書いておけばよかったな、と今になって思う。





追記

https://twitter.com/kaibutupu/status/1040932311313727488?s=21

一番最後に握手する、いわゆる鍵閉めというやつで55枚分握手してる人をTwitterで見た。55枚はすごいよね。私はその金あったらsk ⅱをライン買いする。