181123 AKBの握手会で指原莉乃と握手したはなし
同じ事務所なんだけど指原莉乃って子がいるんだけど、あの子いい子だよ、気がきくし、みたいな事を有吉弘行がラジオで言っていた。
まだAKBに大島優子が居て前田敦子が居て、指原さんが三列目で踊ってた頃。彼女が総選挙三連覇を成し遂げる、ずっと前のこと。
その頃私は高校生で、ラジオが好きでよく聞いていた。
さしはら?誰?と思ってグーグル先生に調べてもらったことを覚えてる。特別小綺麗な印象もなく、普通の同い年の女の子だった。多分私はアイドルグループの中で少しぱっとしない女の子に自分を重ねたがる癖があるのかもしれない。人は自身に似ているところがある人を好きになると言うのだから。指原莉乃が少しだけ気になる存在になった。
それが今から10年前。
高校生だったあの頃はもう遠い昔。
AKBだったらさしこが好き、という話をすると、え?誰?みたいな扱いをされたのだけれど、いいとものレギュラーを彼女が獲得したあたりから一般的な認知度がめちゃくちゃ上がった。いいともすごい。そりゃ芸能人みんなレギュラーになりたがるわ。いいとも終わったけど。
今でいう白石麻衣のような誰もが羨む美貌もなければ、平手友梨奈のように唯一無二の圧倒的な存在感があるわけでもない、言ったら悪いけれどそこら辺にいそうな小綺麗な女の子(もちろんクラスに居たら全然スクールカースト最上位に居るタイプの普通に可愛い女の子だけど)が持ち前のコミュニケーション能力、処世術で成り上がるさまをテレビの向こうで見てきた。
現役アイドルなのにブスいじりを軽々しく笑いにかえてしまうし、見ていて不快な感じはしない。最大の転機であっただろうスキャンダルすら好機にかえてしまった辺りで向かうところ敵なしなんだな、この女すごいな、と思った事をよく覚えてる。
多分、彼女にとって天職なんだろう。
アイドルというよりもタレントになってた。48グループの枠をとうに超えて、一個人の指原莉乃としていろんな世代に認知されている。
そんな彼女も11月21日で26歳。
26歳。
人生どこから下り坂か、という観点から鑑みればきっとまだまだなんだろう。けれど人間の体は20歳がピークだ。今もみんな平等に体の細胞ひとつひとつが成長しては老いて、いつか死ぬ。
彼女と同い年の私も26歳になった。
察してほしい。
普段一般人に擬態してても根がオタクなのでインターネットに自分の歳はこんな事でもなければ書かないし顔も晒さないけれど、26歳って結構しんどくない?一昔前だったら女はクリスマスケーキに例えられる話を聞くけど、そういうの耳にする度に、仕事場のおばちゃん達が歳を理由に自分には価値がない旨の発言をする度にまるで自分の価値が年齢しかないような絶望感に苛まれる。
だから同い年でまだアイドルをしている彼女に会いに行く事にした。
正直さ、握手券が入ってるCD買うのめちゃくちゃハードル高くない?
握手券が入ってるCDイコール劇場盤、まではわかったの。理解できたの。
でも劇場盤のサイト死ぬほど見辛くない?
握手に付随した特典盛りすぎて意味わかんなくない?
あれ作った人は初見で理解できると思ってんの?
普通は小学生が見ても理解できるように作るんじゃないの?
ちょっとだけ興味持って調べたらあの文章の羅列だと買う気失せるよね?
比較的文章を読むことに抵抗がない私ですら、あ、無理、って思うからには多分あのページ見た人の9割は、あ、無理、って思ってると思う。
お目当ての誰がどの時間に居て、握手に付随してどの特典がついているのかわかりにくいにも程があるなあ、と苛立ちながら見てた。
「センチメンタルトレイン」の再販。私でも顔と名前が一致してるような柏木さんやおぎゆかちゃんとかの選抜メンバー達はみんなほぼ完売してて、指原さんは23日だけ枠が空いていたから上限であった3部に5枚、5部に5枚抽選に応募してみた。まあ当たらないだろう、とタカをくくってたら3部5枚、5部2枚当たった。
あ、あれ…?意外と当たるんだ…?と困惑したのを覚えてる。正直1枚当たればいいかなと思ってたのに。
そんなわけで今日行ってきた。勤労感謝の日、秋の三連休の初日。
握手会行った後ポケモンセンター行こうと思ってたんだけど、思いの外体調悪くてマジで握手のためだけに東京方面へ出かけた事になった。さよなら交通費。
欅坂の時に比べたら警備がめちゃくちゃしっかりとした印象だった。手荷物検査のレーンは多いし、女性専用手荷物検査のレーンも完備してるし、飲み物飲まされるのは一緒だけどハンドクリームを少量手に出して確認してもらう。
指原さんの隣のレーンが身障者用のレーンで、そこには警備の人が必ずずっと居た。
「昔に比べて人が少なくなった」という言葉をインターネットの端っこで見かけたのだけど、これで少なくなったんだ…と困惑するくらいには田舎のお祭り状態だった。(3部に比べて5部は結構人が居て、待機列の人口密度が全然違った)
充電スペースとパイプ椅子スペースがあったのも欅と違うところ。
あと欅はスタッフはみんな男でスーツだったのに対して、此処ではスタッフはビブスを着ていた。スタッフは大学生ぽい女の子が多かった。
(個人的な感想なんだけど、欅に比べて随分とファン層の年齢が高い印象はあった。正直めちゃくちゃびっくりした。欅の全国握手会は学生ぽい子たちがめちゃくちゃ多くて、並んでる最中も「テストが〜」「受験が〜」みたいな、学校にまつわることばかりで私の方が肩身が狭かったのに、この握手会は8,9割くらいおっさんだった。同じアイドルなのに全然違う…ってめちゃくちゃ戸惑っておののいた)
3部の列に並んで5枚出したら「5枚出しは30分からなんです」と椅子に座ってレーンで身分証明証確認兼枚数を確認する女の子に声をかけられた。
「あと6分で30分になるので待ちますか?それか3枚で行って、また並び直して残りを使いますか?」
2回並んでもなあ、と思って補助要員であるビブスのお姉さんの隣で待つ事を選んだ。
握手だけ、もしくは握手+サインになるか、のiPad四択抽選をぼんやりと眺めてた。5〜8人に1人くらいの確率で当たった音が鳴ってた。1日通して抽選で100人に当たるとサイトには書いてあった。意外と当たらないな、という印象だった。
「あともう少しですよ」とビブスのお姉さんが気遣って声をかけてくれたので「私みたいにルール知らないで来ちゃう人とか居るんですか?」と聞くと「みなさん常連さんが多いので、あんまりないですね」と言っていた。口ぶりから察するに何度もこのバイトをやってるのだと思う。
30分になって、列の間に入れてもらう。5枚のうち、2枚目でサインが出た。サインではアイドルにどんな名前で書いてほしいのかを書く用紙を渡された。漢字、ひらがな、カタカナ、英字可だけど8文字以上は不可。あと略称も不可だと書かれていた。
その氏名に付随して「様・さん・くん・ちゃん」が選べるというので、漢字でのフルネームに様付けしてもらった。一番画数が多いパターン。書く方からしたらめちゃくちゃめんどくさいやつ。
初めて生で見た指原莉乃はとにかく色が白かった。
「お願いします…」
「あ!おめでとう」
そこで一回握手してもらって、指原さんは文字を書き始める。隣の監視役のおじさんからハイと透明なビニール袋を渡された。何に使うのか全く分からなかったので両手で持ったまま指原さんの方を見る。
「あ、名前間違えた。書き直すね」
かなり序盤だったから、本来突き出ない部分を突き出して書いたんだと思う。
「26歳おめでとうございます」
「うん、ありがとう」
はっきり言って、興奮状態でこれ以降何を話したのか正直よく覚えてない。
確か、長野から来たこと(遠かったでしょう、と気遣ってくれた)
途中ディズニーでみんな電車を降りていくこと(みんなディズニー行くよ、と彼女も言っていた)
初めてAKBの握手会にきたこと(「普段は誰のとこに行くの?」というので「誰とかなくて、初めてなんです」と言ったら驚かれた)
意外と声低いんですね、と言ったら「バラエティは頑張って声高くしてるんだよ〜」と言ってた。
「まもなくです」「お時間です」とタイマー役のお姉さんが言うので、喋ったらいけないのかと思って途中から黙ってサインする姿を眺めてた。伏し目がちな姿が美人だな、と思った。
書き終わって、また握手してもらって、カードを渡されて退場。そこでようやくビニール袋はカードを入れるためのものだと気づいた。
握手してもらったことと、サインをもらえたことに妙に胸が高鳴って、何も考えられなくて何も用がないのに周辺を歩いた。
一階の外にはキッチンカーが出てて、本当にお祭りみたいだな、と思った。
それが3部の話。
ご飯のために外に出て、5部のために戻った。正直、行っても何話そう…とは思ったのだけど、まあ数秒程度だし褒めとこと思って並ぶ。
2枚とも握手。
開始15分は来なくて、3部よりも圧倒的な人口密度と元からの体調不良で具合悪くなりそうだったのをしゃがみこんで堪えてた。3部と全然違う人混み……。これで昔より少なくなったとか冗談でしょ……。さっきまでスカスカだった隣のレーンも行列ができてた。(後で調べたらドガースに似てるという、松岡はなちゃんの列だった)
Twitterでじゅりなと2shot撮って載せてるのが開始時間である15時を過ぎた15時2分で、この女…と思ったのだけど、まあじゅりなが笑顔ならいいか。
指原さんと握手してもらって、とりあえず容姿を褒めた。
「私?!いやいや可愛くないって〜」
握手してた手を離し、自身を指さしていやいや〜と手を横に振る姿が、バラエティで見る指原莉乃そのもので感動した。
「リップ可愛いし、色白いし似合ってるよ」
思いがけない言葉に喉の奥がひりついた。まさかさらりと褒め返してくるとは思わなくてびっくりした。マジで。最初何言ってるのか理解できなくて、言葉の意味を理解してからはきっと顔がめちゃくちゃ赤くなってたと思う。
そんなの言われたらありがとうしか返せないじゃん??
まもなくですとタイマー役のお姉さんが言う。
「ありがとう。また来てね」と笑顔でバイバイした。
ねえ指原莉乃すごくない?
たった数秒で、見ず知らずの女に褒められたらきちんと褒め返してくそのスタイル。
本心からでなくてもいいの。うわべでもいいの。リップサービスでいいの。私はあなたのことが好きで時間とお金をかけてここに来てる、そのことを真摯に受け取ってくれたらそれでよかったの。なのにたった数秒の出来事で相手がほしがってる言葉以上を返していく、この感じ。だからこの人はアイドルのトップに立ち続けられるんだと理解した。間違いなく、彼女はプロのアイドルだった。
顔面だけならこの前握手してもらった加藤史帆ちゃんの方が断然小さくて整ってるんだけど、そういうのじゃないの、顔とかじゃないの。褒め返すのも誰にでも言ってるんだろうけど、私はとにかく嬉しかったの。たった数秒で正解を弾き出してくれた事に驚きと感謝と尊敬しかない。
こんなの好きになるに決まってるじゃん……。
とりあえずサインは額縁さがして飾ろうと思います。